発達障害と診断され、「やっぱりそうなんだ!!」と安心する一方で、「今後どのような職に就くのが自分にとって理想なのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
私自身は発達障害と診断されたのが、公務員(事務職)に勤務していた時なので、今後どうやって公務員人生を乗り越えていけばよいのか、絶望の中で悩んでいました。
各人それぞれですが、私自身発達障害を抱えて公務員を続けるのはいずれ限界がくるのではないかと考えています。その理由について公務員を経験した実体験をもとにお話します。
目次
公務員と発達障害の相性が悪い点 3選
高度なコミュニケーション能力が求められる
まず第一に公務員に求められるコミュニケーション能力が時代とともに高度化していることが挙げられます。公務員時代には、市民ファーストと耳にタコができるほど聞かされ、市民対応能力向上の為に、民間講師を招いたマナー対応研修を受けたり、抜き打ちテストのように外部講師が窓口に市民のふりをして来庁し、窓口対応能力を採点させられることもありました。
公務員として働く上で、窓口業務は必ず経験します。公務員の窓口のイメージは住民票や戸籍の発行で簡単そうだと感じることも多いですが、実際そのような定型窓口業務は民間に委託する自治体が増えており、ほとんどはイレギュラーな対応が求められる窓口業務の対応を行うことになります。
実際私は滞納整理業務も行いましたが、ファーストコンタクトの段階で相手側は機嫌が悪かったり、怒っているので、その中で納税相談や支払い交渉をしなくてはならず、苦戦しました。
住民対応だけでなく、自治体の内部、外部との人間関係にも苦慮をしました。公務員は他部署との連携業務が必須なので、他部署との人間関係や信頼関係も大切にしなくてはなりません。
また、時には他の自治体からの照会に対する回答、逆に、他の自治体へ照会の依頼をしなくてはならないので、①住民対応、②内部の人間関係、③外部との人間関係等、幅広く柔軟なコミュニケーション能力が常に求められます。
ケアレスミスが一切許されない業務
ADHD(注意欠如多動障害)の私が特にきつかったのが、データ入力作業です。一見単調な作業に感じますが、単調な作業を繰り返しミスなく入力していく作業は意外と集中力を要します。
公務員のほぼ全業務に渡って、ケアレスミスは許されません。私が配属された税務課に関しては、金額の入力ミスは、間違った税額を市民に請求することとなります。数値のデータ入力業務は膨大な数をこなさなくてはなりませんが、1件たりともミスをすることは許されないのです。ミスしないよう集中して入力しなければなりませんが、業務中はそんなことに関係なく市民は電話や窓口に問い合わせにきたりします。途中で業務を中断して集中力が途切れたとしても、また正確にデータを入力していかなくてはなりません。
※ケアレスミスが何度も発生すると上司や市民の信頼性を損ねることになります。間違えてはいけないと思えば思うほどミスは頻発し、悪循環に陥ってしまうので、ミスが発生しないような環境つくり(ダブルチェック、トリプルチェック)をするなど、工夫が必要になります。
公務員は仕事量に反比例して、人員がかなり限られた環境なので、限られた時間で正確に、迅速な処理能力が求められます。
配属ガチャに怯えながら仕事を続けなくてはならない
公務員はゼネラリスト(広範囲な知識・技術・経験をもつ人)となるのが一般的です。 1つの分野に特化するのではなく、幅広い分野の知見と経験があり、オールラウンドに活躍できる人材を指します。その為、せっかく大変な思いをして覚えた業務も、3~5年で全く別の課に異動すれば人間関係も、業務内容もまた0からスタートになります。
これはかなりストレスのかかることで、発達障害の特性上苦労をしてしまう要因の一つかもしれません。
勿論発達障害の特性が活きる部署もありますが、配属ガチャに怯えながら働き続けるのは精神的にきつく、いつか限界がきてしまうかもしれません。
自身の特性を理解することが大切!!
以上、発達障害の特性が公務員に求められる適正に合うか個人的な見解を述べました。勿論発達障害の特性を活かして活躍している公務員も沢山います。また、発達障害をオープンにして、周りの方たちに配慮してもらいながら働くことも可能です。
大事なのは、自身の特性をしっかりと理解し、苦手な点をどうカバーするかです。公務員に限った話ではないですが、特性を活かした天職に巡りあえることが、発達障害を抱える私たちにとって一番難しいところかもしれません。
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