話し声を「音として認識できる」が「情報として認識できない」症状(聴覚情報処理障害)

今回の記事では、私が幼少期から悩まされた事の1つ「人の話し声を音として認識することはできるが、話の内容を情報として認識できない」こと、「聴覚情報処理障害」について過去の体験談を含めて取り上げてみたいと思います。

目次

聴覚情報処理障害(APD)とは

聴覚処理情報障害とは、聴覚検査を受けても聴覚に異常はなく、正常に音を聞きとれているにも関わらず、脳の機能障害により単に音が聞こえているだけで、話の内容を情報として認識することができない症状を言います。

聴覚情報処理障害によって下記のような問題が起こります。

口頭で言われたことはほとんど忘れてしまうことが多い

職場で外部の人と電話をしている時に、私が集中して真剣に言葉を聴き取ろうとしても、相手の話し声が単に音として聞こえるだけで、内容が全く理解できないことがあります。その為必死にメモを取ろうと思っても、内容を断片的にしか理解できない為メモをとることができず、後になって相手が何を言いたかったのかが全く分からなくなってしまうことが頻繁にある。

話の内容が長くなると集中して聞き続けるのが難しい

学生の時から誰かの話を長時間聞き続けることができませんでした。教師が口頭で何かを説明していても最初の方は集中して聞き取ろうとしますが、説明が長くなってくると内容を理解しようとすることに苦痛を感じてしまい、話声が単に右から左へ流れていくだけでした。当時は周りの人も同じように感じているだろうと思っていましたが、教師の説明が終わり一斉に行動していく周りの姿を見て、自分だけが理解していなかったことに気づかされました。

周囲に雑音があると、特定の人が話している声を聞き取る事が難しくなる

社会人になると同僚や先輩などとのコミュニケーションとして飲み会が増えてきます。居酒屋で飲む場合はたいていザワザワとした空間でお酒を飲むことになります。周りの笑い声や話し声が入り混じった空間で会話をしていると、周りの音が気になり特定の人が話していても、話声を聞き取るのが難しくなってしまいます。その為周りの会話についていくことができず、ただ相槌を打つことや愛想笑いをするくらいしかできなくなってしまいます。自分の名前が呼ばれても気づくことが出来ず、「周りの話を聞いていないのか」と思われることも多々ありました。私にとって飲み会はただただ苦痛の場でしかありませんでした。

本来の人であれば、カクテルパーティ効果(周りがザワザワとしていても興味のある会話や自分の名前などは、自然と聞き取ることができる)が働きますが、私はほとんど聞き取ることができません。

聴覚処理情報障害によって引き起こされる問題の対応策

聴覚処理情報障害は、仕事を進めていく上で支障をきたすことが多いので対応策が必要です。基本的に耳で聞いたことのほとんどは後から思い出すことができないため、ボイスレコーダーを使用できる環境であれば、会話を録音することをオススメします。その場で理解できなかったとしても後でゆっくり何度も聞きなおすことで、理解を深めることができるからです。

電話対応の時はたいていの場合ボイスレコーダーは使用できません。そこで職場の人の協力を得ることを前提に、相手の話した内容を比較的大きな声で復唱し、職場の人に自分の復唱した内容を聞いてもらうことで、周りの職場の人から話の内容を後で確認することができます。

聴覚情報処理障害は日常生活を送る上で不便なこともありますが、工夫次第で問題を解決することもできますので、あきらめずにこの障害と一緒に向き合っていきましょう。

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